第2話

開かずの扉

揚羽「ちょり〜んす。
   今日も美人の揚羽ちゃんの出勤っす〜」
永磨「ちょり〜んす。今日も輝いてるね。
   目ん玉ハートになったぜ」
揚羽「何何ぃ!?
   永磨っちうちのこと好きなの〜?
   アッハッハマジうけ〜。
   間に合ってるから〜」
永磨「えーしょぼ〜ん」

こいつは適当に相手しておいて
どっか行くのを待つのが1番楽な攻略法だ

とは言えさすがのコミュ力
当店のご指名No.1にございます。

揚羽「あら、おでんちゃん〜」
伝子「今日もグツグツ、おでんおでん〜って、
   誰がおでんじゃ!」

始まった
超イジられキャラの伝子ワールド

穂世「みなさん、お客さんですよ〜」

いらっしゃいませ!

今日も平和だ

さて、
情報収集だ。

何の情報かって?
知りたいことは主に3点
①魔鍵士について
②神の力について
③鍵士の営業情報

③はボチボチ出るが
①、②はほとんど有力な情報は出ない

俺が魔鍵士というよくわからない
職業を始めたのは2年前
死んだじーちゃんの遺品の中にあった文献
ここに魔鍵士一族の記載があって   2-1

魔力を宿した鍵士
昔大きな任務を抱えていた
神の力の使い手を探せ
世界に危機が迫っているはずだ

この程度の情報が書いてあり
続きがありそうだったが見当たらなかった

それと金色の鍵が一緒に保管してあった
触れてみると、
魔力が自分にも使えることが発覚して
自分は魔鍵士の末裔だと悟った

じーちゃんは俺が小さい頃に死んで
親父は魔鍵士とは一切無縁で
酒と女に溺れて借金から逃亡するように自害
おふくろがそれをなんとかしたが
俺を置いて亡命

だから俺は施設育ちだ
施設では階級社会で力が正義
イジメや差別なんてもんは日常茶飯事
大人たちは金しか興味もなく
そんな状況を誰も何とも思わない中
そこで10年過ごした
人間の闇は一通り経験したつもりだ
俺はもちろん武力型ではなく
階級は下のほうだったが
悪知恵だけでなんとかしてきたのさ

働ける年齢になって
いろんな職業を経験し
ふいに元々住んでいた家に行くことがあり
魔鍵士のことを知ったんだ

「俺が絶対開けさせはしないさ」
鍵を初めて握った時こんな声がした

じーちゃんの若い時のだろうか
何かを必死で守ろうとしている気迫に押されて
魔鍵士になることにした。

じーちゃんの部屋には開かずの扉があった
その時初めて魔力を使った               2-2

じーちゃんはこの扉を
俺に開けてほしかったのか

永磨「うっ・・・臭っせ!」

そこにあったのは魔鍵士の服と思われる
それと小さな道具箱とメモ書きだ

永磨よ
ここにたどり着いたということは
だいたい状況はわかったであろう

永磨「いや、わからん」

お前は魔鍵士の末裔だ
やらなければならぬことがある
お前のやり方で変えれる世界がある
その鍵がお前の人生を映す

魔鍵祷衣(服のこと)は
魔力による負荷を軽減する効果と
姿を隠す意味がある

魔鍵士の姿と魔力は
決して人に知られてはならぬ
災いを呼び起こすだろう
お前が心を開いた者にだけ
感謝の気持ちを込めて全てを開け

永磨「いやいや、じーちゃん。
   やらなければならぬことって何だよ。
   そこまで書いてくれるなら教えてくれ」

  「・・・敢えて書かなかったのか。
   とりあえず、臭っせ。洗濯だ」

俺はその手の言葉にめっぽう弱い。
やるしかないか。

永磨「改めて、俺が魔鍵士永磨だ」
  「んだこれ、女みたいじゃないか。
   ・・・まあ、悪くはないだろう」

そして今に至る。情報不足すぎる。

穂世「永磨君、こんにゃくどこいったかな?」
永磨「こんにゃく?
   そこにあるじゃないですか」
伝子「ぼよん!ぼよん!
   こ〜ん〜にゃ〜く〜う〜って、
   誰がこんにゃくじゃ!」

2023/9/12