第6話

比蘭商会

永磨「永磨でいいぜ。おっさん」
水凪「私も。ミーたんって呼んでください」
源「それは恥ずかしいな」
永磨「要件を聞かせてもらえるか?」
源「大嫌いな政治家がいる。
  二人の力を借りてしっぽを掴みたい」
 「言わずと知れた大富豪だ」

 「数分で巨額な金もこの辺一帯も
  動かせる権力を持っている。
  政治家の他に多数の企業の
  会長の立場でもある」

水凪「もしかして比蘭商会?」
源「調査も仕事にしてるだけあってさすがだ。
  ミーたん」

やばい。吹く。
その強面でミーたんは確かになかなか厳しいw

源「んだよ。俺も勇気を振り絞ったんだぞ。
  やっぱり水凪で呼ぶぞ」
水凪「比蘭商会って良い噂ないですよね。
   マルチ商法だったり、恐喝、略奪、
   詐欺。よく聞きます」
源「そうなんだ。だが、巧妙に正体を隠して、
  捕まるのは下っ端ばかり」

 「俺は昔比蘭商会で働いていた。
  目的も知らず何かを運ぶ役だった。
  あれはおそらく麻薬」

 「何も考えず仕事して
  金がもらえればいいかと
  当時は俺もそんなもんだったが、
  闇に触れたためか同僚が次々と消された」

 「俺も消される予定だったが、
  その同僚の1人がうまく逃してくれた」

 「そいつは多分消されたと思う」

 「比蘭は会ったことがあるが、
  自分のことを美しき人間、
  下請けの人達を魔物と呼んでいた」

人間、魔物
なるほどね
仲間の技士もそんな感じなんだろう
                  6-1

源「俺は同僚は好きだった。
  仇とは言わんが
  逃してくれた恩には答えたい。
  比蘭は許せん」
永磨「なるほど。俺もその悪党は嫌いだ。
   力になろう」
水凪「私もです」

源「ありがたい。早速だが、しっぽを掴むには
  証拠を掴む必要がある。
  その証拠は、ヤツの館に確実にある」

 「仲間の技士と俺と手を組んで、
  館に潜入して証拠を
  掴みたいっていうことだ」

 「情報はすでに掴んでいて、
  館の構造も把握したところだ」

 「そこで、二人がいないと
  絶対にできないことが浮上した」

 「1つは鍵開けだ。中心部の3階に
  比蘭のプライベートルームに
  行くと思われる扉がある。
  はっきり言ってここがクサイ」

 「この扉には仕掛けがあって、
  左右の棟それぞれにある鍵を
  同時開錠しないといけないんだ」

 「鍵開け自体は得意ではないが
  仲間の技士でできる。
  同時がミソでどう考えても体が1つ足らん。
  そこで永磨だ」

 「さらに2つ目。
  カギを同時開錠したら扉が10秒だけ開く」

 「警備も厳重だ。
  それを掻い潜って扉が閉まる前に、
  隠れられるポイントからダッシュがある」

 「曲がり角ありで約80m。
  相当なスピードを求められる。
  これは水凪にしかできない」

 「だからプライベートルームに行くのも
  水凪1人しか無理だ」

リスクでかいな。

水凪「面白そうですねぇ。やりますよ!」
源「その後はプライベートルームを
  水凪に詮索してもらい、
  俺たちは退避ルートの確保と
  水凪のフォローに徹する感じだ」

 「連絡は無線で取る。館の中心部に
  ほとんど使わない倉庫があって、
  俺が忍び込んで無線の拠点を作る」

 「そこなら通信範囲が建物内ギリギリ入る」

 「そして先導役とピンポイントフォロー等に
  仲間の技士が作ったこいつを起用する」
                  6-

ブーン

源「ハエ型探索機の華恵だ。
  カメラ、ライト、GPS、AIを搭載
  俺と技士の指示なら聞いてくれる」

永磨「こいつは凄い。もしかして
   これで俺の正体あばいたのか?」

ツンッ

華恵「キャア!こいつ!お尻触った!
   痴漢!変態!ロリコン!」
源「繊細なレディだ。丁重に扱え」

永磨「・・・さーせん」
水凪「可愛い!しゃべるの〜?水凪です。
   よろしく!」
華恵「水凪ちゃんも可愛い!よろしくね!」
永磨「永磨だ。よろしく」
華恵「死ね!変態!」

源「証拠さえ手に入れれば、撤退は雑でいい。
  その辺の壁を爆弾でふっ飛ばして
  外に出よう」

 「二手に分かれる。永磨と水凪は比較的楽な
  西棟3Fルートから侵入してくれ」

 「高確率で3Fのこの窓が空いてるから。
  もし空いてなければ開けてくれ」

 「俺と技士は本館の地下から東棟と、
  中心部をそれぞれ目指す。
  無線拠点を真っ先に作りたいから、
  俺たちが先に行く」

永磨、水凪「了解」

源「うまく行ったら2人の知りたい情報を
  俺も探すことを約束する。
  そこに本棚があるだろう?
  あれは、俺が集めたここら辺の情報だ」

 「好きに使ってくれ」

 「この小屋も好きに使ってくれ。
  戸締まりだけは頼むぞ」

永磨、水凪「了解」

2023/9/12